社長でなくても、自分の現場の手作業は自分で消せる

コードを書けない経営者が、AIを相手に社内の仕組みをいくつも自作した。そういう記事を最近読んだ。主役は社長で、自分の会社の仕組みを自分の手で作っている。

自分は経営者でも、情報システムの担当でもない。会社では現場の担当者をしている。それでも、同じことをずっと小さい規模でやってきた。毎月30分の手作業を自分で消した話と、それでも手で残したところが2つある話を書く。

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毎月30分の手作業を、自分で消した

毎月、取引先へ出す決まった形の資料があった。社内のシステムから出したデータを、手で加工して整えて出す。作業そのものは難しくない。ただ毎回同じで、単純にめんどくさかった。これ、すぐパッと終わった方が楽じゃないか。そう思ったのがきっかけだ。急に担当を引き受けることになった時期で、いずれ次の人へ渡すときも楽なようにしておきたかったのもある。

使ったのは、会社のパソコンに入っているCopilotと、ExcelのOffice Script(Excelに付いている、操作を自動で繰り返す機能)だけだ。Copilotと対話しながらスクリプトを作り、元のデータを貼って実行すると、新しいシートに資料ができる形にした。

減った時間は毎月30分、年に6時間。自分1人分だけで、他の人の分は測っていない。初めて実行して資料が出てきたとき、思ったのは「楽だな」だった。同時に、自動化するための時間をもっと早く使っておけばよかった、とも思った。

つまずいたのは、印刷の設定だった

途中で一度止まった。自分が試した範囲では、Office Scriptで細かい印刷設定を思うように組めなかった。印刷して出す資料なので、ここは飛ばせない。

抜けられたのは、印刷設定だけを持つシートを別に用意し、できあがったシートにその設定を引き継がせる形にしてからだった。コードを書けない人がAIと作ると、こういう道具の側の制約で止まる。止まった場所を言葉にして、AIに聞き直す。これを何回かやると抜けられる。

申請も、追加の費用も要らなかった

新しいサービスは何も入れていない。会社のパソコンに最初から入っている環境だけで完結したので、申請も追加費用も発生しなかった。現場の担当者が自分で作るとき、ここは大きい。新しく許可を取りに行く必要がなかった。

自分の事業の側でも同じことをしている。問い合わせのあとに答えてもらうフォームは、手で組むと30分から40分かかる。Google Apps Script(Googleの表計算やフォームに付いている自動化の機能)に、AIと作ったコードを貼って実行する形にして、10分ほどになった。SEではない自分が、ゴールと詰まっている所を言葉で渡しながら作った。

中にいるから、作れる

営業をしていた頃、内勤の人に効率化の助言をして、的外れで、余計なお世話だという顔をされたことがある。外から見て作る仕組みは、やっている本人が面倒だと思っているところとずれる。その業務を毎日やっている人には受け入れられにくい。

自分の資料づくりは、自分が毎月やっている作業だった。どこが面倒で、どこを変えると困るかを知っているのは、やっている本人だ。社長が自作する話も、現場の担当者が自作する話も、ここは同じだ。どこを手に残すかを決められるのも、同じ理由だ。

それでも、キーは手打ちのまま残した

自分の事業では、相談者の事前アンケートの回答を1人ずつ並べるシートを使っている。キーになるメールアドレスを入れると、回答が自動で並ぶ。

手で残したのは、このキーだ。キーまで自動でつなぐと、元の表で行が1つ消えたり並び替わったりしたとき、書いた記録が別の人の行にくっつく。見た目は何も変わらない。手で打っていれば、打ち間違えた瞬間に参照先が空欄になる。その場で分かる。

正直に言うと、このことを一度忘れていた。なぜ手打ちにしたのかと聞かれて、答えられなかった。当時の記録を見返して、そう考えて選んでいたと確かめた。

理由の方は忘れていたが、ずれの怖さは覚えている。別の表で、数字が合わなくて、あとで並びがずれていたと分かったことが前にあった。元のデータがいつもと少し違っただけで、行と列の並びがずれていた。普段の数字と明らかに違ったから気づけた。近い数字だったら、気づかなかったと思う。

外への送信と公開は、自分で押す

もう1つ、手で残しているところがある。メールを送る、ブログやSNSに公開する、といった外へ出る最後の操作だ。下書きまでは仕組みやAIに任せても、確認して押すのは自分でやると決めている。

こちらは理由がはっきりしている。何かトラブルがあったわけではない。セキュリティの勉強で、外への送信や公開まで自動にしたときに何が起きるかを知って、そこは自分で確認してから実行することにした。信用を守るための線だ。

ただ、永久に人がやるべきだとは考えていない。今の技術で、今の自分が安心して任せられる範囲がここまで、という判断だ。任せられる状態になれば、ここも自動にしたい。

キーの手打ちは理由を一度忘れたまま残していて、公開の確認は理由を覚えたまま続けている。冒頭の社長の記事でも、自動化した領域と、人が書くと決めた領域が分けられていた。自動化できることを増やすだけなら、AIに聞けばいくらでも出てくる。自分がやったのは、どこを人間に残すかを自分で決めておくことだった。

毎月30分の資料は、今も自動で出ている。キーは手で打つ形のまま残し、公開のボタンは自分で押している。

自分の現場の手作業を、自分で消してみたい方へ。「何から手を付ければいいか分からない」という段階でも大丈夫です。まずは無料相談(オンライン60分)で、現場で最初に消せそうな手作業と、残した方がよい手作業を一緒に整理するところから始めます。

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